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桃伽奈

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Posted by桃伽奈

種と蕾の先へ 65

桃伽奈




 類side

 中川職員が亡くなっていた……?
 あきらに見せてもらったDVDでは、どこかに監禁されているような映像だったけど……。
 ……じゃ、その監禁相手に?

「中川職員が約束の国立公園に現れなかった日から行方を捜していたけど、情報が少なすぎるし見つからなかった。あと万が一って可能性もあるから、先日ヤスに直接警察署に潜入して貰い、遺体安置所に保管されているここ数週間の身元不明遺体のDNAを持ち帰って……ほら、国立公園に中川職員が現れなくて、つくしに彼のマンションに行ってもらった時、持ち帰りしてもらったものがあるだろ」

「あ、うん。爪切りだよね。DNAを確認できるものを持ってきてって言われて……」
「そう、あの中に切った爪の残りが入っていたから、その爪のDNAとヤスが持って帰ってきたDNAの一致が確認できた。検死結果の死亡推定時刻は、あの国立公園の次の日あたりらしい」

 ……。
 DNAを確認できるものを持ち帰る指示を牧野に出した……。
 つまりその時から、ヒロの中にはその可能性があるって思っていたって事か……。
 短絡的に繋げすぎかもしれないが、現時点では犯人としては広田だろうと考えてしまう。
 パーティーで会った広田は明らかに俺を警戒していた。

 人が死ぬ……。それも殺されて……。
 あまりにも現実離れした世界に、後ろから大きな闇が襲ってきて、指先が冷たくなっていく。
 人が死んだと聞いて、隣に座る牧野も顔色を失っていた。
「……牧野」
「……花沢類……」
 心配になり声を掛けると、目だけを動かし俺を見た。
 そんな俺達の様子を見ていたヒロが、言葉にするか悩んだ顔をしながら口を開いた。
「……ね、類君」
「……」
「僕達は、つくしの父親のハルと類君のお母さんは同じ人に殺されたって思っている。お父さんの花沢開氏は何か言ってなかった?」
「言ってるわけないだろっ。コイツはついさっきまで、母親は自殺したって思っていたんだぜ」
「「ヤスっ!」」
 ヒロと牧野が声を揃えて同時に咎めた。
 ヒロだってヤスと同じように父さんが俺には何も話していない事を知っているだろう。
 つまりは父さんから話を聞き出せって意味なのか……?
 ……父さんが何か知っている?

「僕はもう少し君たち親子は会話をした方がいいかなって思うよ。余計なお世話だって感じるかも知れないけどね」
「……いえ」
 それは杏子さんにも散々言われている事だし、心配させている事だ。
 さっきも感じたけど、ヒロの言葉はストンと胸に落ちてくる。
 俺が間違っていたんだと認めざる負えない……。
 ……でも。
 父さんと話をする……。
 この前は失敗してしまった。
 今度は……上手く出来るだろうか……。

「類君がお父さんと話をするのに勇気がいるっていうなら、つくしもついていってあげなよ」
「……え? あたし?」
 俺からすると思いがけない助け船のようなヒロの言葉に、牧野が驚いた顔をした。
「さっきからずっと「心配だ」って顔をしてるよ」
「それは……心配だけど……」
 でも親子の会話にあたしが入っていいのかどうか……って言いながら、牧野は悩んでいる。
「ついてきて、牧野」
「は、花沢類っ!」
「だって牧野も無関係じゃないじゃん。父さんが何か知っているなら、それは牧野のお父さんにも関係がある話だよ」
 だって……なんて女々しく聞こえる言い方をしてしまったが、牧野が傍にいてくれるなら大丈夫な気がする。
 強くなれる。
 牧野の存在が俺を勇気づけてくれる。
 そんな感じがずっとしているから、きっと父さんともちゃんと話せる気がする。

「……うん。わかった」
 あたしも知りたいって言いながら牧野が頷いた時、玄関の方から「ただいまー」って声が聞こえてきた。
「あ、進が帰ってきた」
 牧野がそう言うと、集まっていたリビングに学ランを着た牧野と変わらない身長の男の子が顔を見せる。 
「「「おかえり」」」
「ただいま……ってお客さん?」
「あたしの学校の先輩。花沢類、これが弟の進」
 紹介された進は「はじめまして」と言いながら頭を下げるので、俺は会釈で応えた。
 声変わりは終わっていたが顔にはまだあどけなさが残り、牧野と同じ大きな瞳が印象的だと思った。
 背負っていたリュックを1人掛けのソファの上に置いた進は、「うちにお客さんなんて珍しいね」と言っている。
「例のつくしが惚れた男だ」
 ……心臓が大きくドキンと動いた。
「ヤ、ヤスっ!?」
 俺に向かって顎をしゃくるヤスに、牧野は顔を真っ赤にさせた。
「え? 姉ちゃんの? ……って何、これってもしかして結婚の許しとかってやつ? 付き合ってないって聞いてたけど、落としたの?」
「お、お、……落としたっつーなっ」
「いてぇ!」
 勢いよく立ち上がった牧野は、そのまま進の頭を平手打ちすると、進は大袈裟に頭を抱えた。

 仲の良い姉弟の姿をみたヒロは「あはは」と笑いながら立ち上がる。
「進、お腹空いたでしょ」
「うん、腹ペコ」
 会話の流れに壁に掛けてあった時計を見ると、もう夕方の6時前だった。
「すぐ支度するから待ってて。類君も食べて帰りなよ、つくし手伝って」
「あ、うん」
「……え?」
 俺が遠慮の言葉を口にする前に、牧野も立ち上がりヒロと一緒に台所の方へ歩いて行った。
 歩いて行ったっていうよりも、恥ずかしくて逃げていったって感じに見えたけど……。
 その後ろ姿が可愛くて、照れくささも加わりずっと我慢していた顔が緩んだ。

「すっげぇ、キレイな人……。姉ちゃんどうやって落としたんだ……」
 牧野の方をジッと見ていた俺の姿を、同じようにジッと見ていた進が呟いた。
 今までよくキレイとか人形みたいとか言われてきたけど、特に何も感じなかった。
 そんなのは人それぞれの主観だし、勝手に評価すればいいって思っていたけど、牧野の弟に言われるのは悪い気はしない。
 プラス評価になっているんだと思うと嬉しく感じる。
「お前までこの男に見惚れてどうする」
 はぁ……ってため息を吐きながらヤスが呆れた声を出した。
「だって……。俺もっと普通の人をイメージしてたもん。どっちかっていうと、ぽっちゃり系……」
 ぽっちゃり……?
「いいからお前は先に着替えてこい」
「分かったよ。類さん、後でゲームして遊ぼ」
 人見知りをしないのか、気軽に声をかけた進はソファに置いたリュックをもう一度肩に掛けてリビングを出て行った。

「よかったな。お前の顔は姉弟には受けて」
 ……顔?
 ヤスの言い方には棘があり、浮足立っていた心が重くなる。
 いや……。本気に取るな。ヒロも言っていたじゃないか……。ヤスは拗ねているだけだって。
 男親なら、さっきの進の言葉じゃないけど娘が連れてきた相手っていうだけで、心穏やかには過ごせないのかもしれない。
 意地悪の1つも言いたくなるよな。
 だってヤスの態度はいつも喧嘩腰に聞こえる。
 俺がキっと目に力を入れて睨み返すと、ヤスは満足そうに笑った。
 やっぱりそうだ。
 俺をイジメて楽しんでるだけだろ!


 
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