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桃伽奈

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Posted by桃伽奈

種と蕾の先へ 73

桃伽奈



つくしside

 そっか。夢子さんは作ったブーケをこのホテルに届ける仕事をしているんだ。
 ならあたしと初めて会った日も、仕事をしている時だったのかな……なんて考えていると、ロビーの奥の方から初めて会った時のようにヒラヒラした服を着た夢子さんが笑顔でやって来た。

「2人ともこんにちは」
「こんにちは」
 あたしは挨拶を返し、花沢類は横で会釈だけしていた。
「ここまで来てもらってごめんなさいね。午後からも打ち合わせがあって、まだ外に出られないのよ」
「ん、いいよ。それで母さんの遺言書は?」
「遺言書って訳じゃないのよ。私も中に何が入っているか知らないから」
 ……?
 何が入っているか?
 書かれているかじゃなくて……?
 あたしが首を傾げるとロビーにあるソファーに座るよう促され、あたしと花沢類は横に並んで座り、正面に夢子さんが座った。

「私が預かったのはこれよ。類君が大きくなったら渡してくれって言われたわ」
 夢子さんは持っていた鞄の中から、グレーのプラスチックケースに入った何かを取り出し見せてくれる。
「これなに?」
「里佳子先輩が、学生時代に使っていたポケットコンピュータ」
 ポケットコンピュータ?
 これが?
 受け取った花沢類の手の中には、縦10センチに横幅が15センチくらいあるような代物。厚みだって2センチくらいあるんじゃないかな?
 これじゃ大きすぎてポケットに入らないじゃん!!
 ってツッコミは、きっと花沢類もやっていると思う。

「……前に何かで見た事あったけど……。これがポケコン……」
 実物は初めて見たって言う花沢類は、横にスライドさせてグレーのケースを外した。
 ケースというよりは蓋みたいで、中身は左上に全体の1/4程の大きさを占める画面。画面の真下は、パソコンのキーボード入力と同じアルファベットが配列してあった。画面の右横にはπや√が書かれたボタンがあり、右下には数字が並んだテンキーがある。

「……大っきな計算機?」
 思わず呟いた言葉に、夢子さんは「そうね。計算も出来るわね」と言った。
「私が学生時代、情報処理部だったのは話したでしょ?」
「はい」
「部活では一人一台、このポケコンを持つ決まりだったの。私が使っていた物もまだ家にあるわ」
「へぇ……」
「関数計算機としても使えるけど、私達は主にBasicやC言語でプログラム入力をして使っていたわ。私が1年生だった時、2年生の里佳子先輩達はポケコンにプログラムを入力してポケコンロボット大会に出場していたのよ」
 BasicとかC言語とか……よく分からない単語に、あたしは横にいる花沢類に助けを求める視線を送った。
 ってかこれに入力をするとロボットが動くわけ?
 本当に……?

「牧野、多分想像しているロボットとは違うから、難しく考えない方がいいよ」
「……? そうなの?」
「ロボット犬とかお掃除ロボみたいなイメージでしょ」
「うん」
「あんな大きなものじゃなくて……。多分もっと単純なプログラム制御とかじゃないかな……」
 制御……。また分からない言葉が……。
「それって知らなきゃいけない?」
 意味が分からないって顔をすると、身近なもので説明してくれた。
「牧野の部屋にも冷蔵庫があるだろ」
「……? うん」
「冷蔵庫の中っていうのは、24時間常に冷気が吹きっぱなしって訳じゃない。タイマーで〇時間毎に冷蔵庫内へ冷気を送るようになっていたり、開閉して中の温度が上がると自動で冷気を送り込んだりして、中の食材が腐らないよう一定の気温を保とうする。その管理の事をプログラム制御って言うんだ」

 ……?
 冷蔵庫の管理を競い合う大会?
 って、そんなわけないよね……。
 説明を受けても分かったような分からないような顔をすると、「知らなくてもいいわよ」と夢子さんが言った。
「私もハッキリ言ってそこまで詳しくないからね。大河さんがいるから入部しただけだもの」
 ふふふっって笑う夢子さんにちょっとホッとした。
「それに普段はこのポケコンにゲームのプログラムを入力して遊んでばかりいて、そんな難しい勉強をしていたって事はないわ」
 そういえば学園の部室棟にあるパソコンにも、ゲームが入っていた。
 ママの学生時代の写真を見つけた日、思わず遊んでしまったあの音楽ゲーム。
 時間の関係で、後ろ髪を引かれつつ終了ボタンを押したのを覚えている。


 花沢類がポケコン側面を確認すると、見た事もないコネクターを差す口があった。
「ポケコンには無線でデータを飛ばす機能はついていないからね。当時は全て線で繋いでいたのよ。外部メモリに記憶する時とか、プリンターに接続する時とか」
 夢子さんの説明にあたしは「なるほど」と頷いた。
「これってポケコン専用のコネクター?」
「ええ。私はもう持ってないけど、部室棟の教室が当時のままなら線はまだそこにあるかも知れないわね。でも普段は乾電池で動くから繋がなくても平気よ」
 ……乾電池。
「電池で動くって、増々電卓っぽい……」
「こんな大きな電卓いらない」
「そりゃ今ならスマホがあれば十分だけど……って、この時代でも、もうちょっと小型の電卓があるよね……」
「それに意外と重いよ。これ」
 花沢類はそう言ってポケコンを持たせてくれるが、確かに重い。
 手で持って操作するというよりは、机の上に置いて操作したくなるサイズと重さだ。
 そんなあたし達のやり取りを、夢子さんは嬉しそうにして見ていた。

「「……?」」

 花沢類と同時にそんな夢子さんに気付くと、笑顔のまま聞いてきた。
「ポケコンの使い方分かる?」
「多分大丈夫」
「そう……。それじゃ、私はそろそろ午後の打ち合わせの時間だから戻るわね」
「ん、ありがと」
「夢子さん、ありがとうございました」
 立ち上がった夢子さんにお礼を言うと「今度は家に遊びに来てね」と言って、仕事に戻って行った。







※ ポケコンロボット大会はお話の中だけですので、実際にあるかどうかは知りません。
 あと専門用語っぽいものが出て来ていますが、詳しくはないので間違っていたらごめんなさい。が、そこら辺はいつも通り雰囲気だけでスルーをお願い致します<(_ _)>
 そして乾電池……。現実問題としては電池の液漏れなど心配になるところです^^; でもお話ですので……=3
 皆様も使っていない道具の電池は抜いておきましょうww
 (↑と、分かっていてもつい入れっぱなしにしてしまいます><;)


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