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桃伽奈

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Posted by桃伽奈

種と蕾の先へ 75

桃伽奈



 つくしside

 引き留めている間に、逃げろって言われたけど……。
 足が動かない。
 ってか、花沢類を置いて自分1人だけ逃げるなんて出来る訳ないじゃんっ。
 追ってきた黒い背広の男性2人が花沢類に掴みかかるので、あたしが助けに行こうと一歩踏み出すと、花沢類は1人目の攻撃を正面から受け止めたように見えたのに、何故か相手が真後ろに倒れた。

 ……え!?

 続いて2人目も攻撃を仕掛けてくるがそれをヒラリと避け、相手の袖を掴んでクルっと回転させた。
 
 ……っ!?
 これって……合気道?

 1人目が起き上がり、もう一度襲い掛かってくるがそれもキレイに受け流し相手を転ばせた。
 ……。
 ……かっこいい。

 風が流れるような動きをする花沢類に思わず見惚れていると、2人目があたしに気付いて襲い掛かってくる。
 向かってくる黒服の背後で「何で逃げてないんだ?」っていう顔をした花沢類と目が合った。
 だから1人逃げれるわけないっつーの。

 あたしの肩を掴もうとする相手の手から逃がられるため、膝を曲げ、腰を低く落とすと素早く懐に入る。
 柔道の背負い投げの要領で、体を360度回転させながら、あたしの肩を掴み損ねた相手の伸びた腕を掴み、曲げた膝を伸ばすと腰の上に相手が乗った。
 相手の両足が空に浮いたのを感じると、そのまま投げ飛ばす。
 ……ゴンっ! という、アスファルトに叩きつけられた鈍い音と共に「ぐえぇっ!」と痛そうな声が聞こえた。

 起き上がってくるかな……って構えると、向こうから走ってきた花沢類に腕を引かれ再び走り出した。

「逃げるの?」
「他にも仲間がいて増えたら面倒だ」
 そ、そっか……。
 走りながらもさっき見た花沢類の合気道を思い出す。
「でもビックリした。花沢類強いね」
「こういうのは専門外っ!」
 2人目が襲ってきたからその後の花沢類の活躍は見損ねてしまったけど、走り出した時にチラッと見えた1人目の姿は、さっきと違う方角で地面に転がっていた。
 もう一回、花沢類に転ばされたって事だ。
 こんな時に言ったら怒られそうだけど、今度花沢類と組手がしたいな……なんて思う。

 後ろを振り返ると、黒服の2人はフラフラしながらも起き上がろうとしていた。
 ……しつこいっ。
 ってか、一体誰なわけ?
「……どっか隠れる場所でもあれば……」
 花沢類は足を止めず周りを探している。「……あの川は」と呟いた時、あたしは「あっ」と声を上げた。
「何?」
「ヒロに連絡する」
 こういう困った時のヒロなんだからと思い出し、ポケットからスマホを取り出して電話をかけた。
 ……繋がれ……出ろ……って願うと、今回は2コールで『はい?』と相手の声が聞こえる。

「あ、ヒロ。今ね。ちょっと追われてて、逃げ切りたいんだけどどうすればいいかな?」
『……状況が全然分かんない』
「そ、そりゃそうだろうけどっ。こっちも急いでんのっ!」
『追われてるって相手は誰?』
 それはこっちが知りたいってば。
 そう叫ぶのを我慢していると、スマホからパソコンのキーボードを叩く音が聞こえ出した。
 まずはあたしの場所を確認してくれているのかな……。

「ね、牧野。電話貸して?」
「え?」
 いいよって返事をする前に、スマホを取り上げられた。
「俺、類だけど。今の場所分かる?」
 何を話すんだろうって思っていると「……ん、……ん」と何回か相槌をした後、
「この川沿いをもう少し行くと墓地がある大きな公園があるんだけど、その地下に隠れるから鍵開けて」
 とヒロにお願いした。
 地下?
 地下って何?
「牧野、このまま走ってあの公園に入るよ」
「う、うん……」

 あたしは花沢類に連れてこられて、大きな公園の中に入った。
 けど公園の奥には行かず、敷地内に入るとすぐ横に曲がって進んで行く。
 すると白い建屋が見えてきた。
 1階建ての高さに一瞬トイレに見えたけど近づくと違うのが分かった。

 何だろう。
 何かの公共事業の建物かな?
 公園の管理人の家?
 ドアの前に立つと「ガチャ」と鍵が開いた音がする。
『開けたよ』
 いつの間にかスマホはスピーカーになっており、あたしにもヒロの声が聞こえた。
 花沢類はドアを開け中に入っていくので、後ろに続き中に入るとドアは自動で施錠された。
 部屋の中には誰もおらず、事務机と固定電話などが置かれていた。
 見た感じは、公園の管理事務所ってところかな……。

「ここに暫く隠れているの?」
「違う」
「……?」
「ヒロ、中の鍵も開けて」
『……中って、本当に地下に降りるのか?』
「ん。外に出てまたアイツらに出くわすのは避けたいから、中から出る」
 ……?
 中から出るって……?

 花沢類が部屋の中を歩いて行く先には、地下へ降りれるような階段があった。
 ああ、地下ってこの階段下の事を話してたんだって思いながら、一緒に螺旋階段になっている階段を下りていく。

 ぐるぐる回らされながら下りる階段に、目が回る……なんて文句が出そうになる。
 結構深くまであり、8メートルくらい下りると床に足が付いた。
 真っ暗の中、花沢類が電気をつけてくれ、廊下のような場所を突き当りまで進んでいく。
「何これ……。金庫?」
「違う」
 違うっていうけど……。まるで銀行の金庫のように分厚そうなドアが目の前にある。
 ってか、この中に何が入っているわけ?
「ヒロ、いけそう?」
『任せとけ』
 花沢類の声掛けに返事をしてすぐ、金庫のようなドアから「ピピッ」と電子音が鳴る。
『開けたよ』
「ありがと」
 見た目通りの重いドアをゆっくりひき、電気を点けると中には広い空間が用意されていた。

「何……ここ?」
 部屋の中から見ると、今あたし達が立っている入口のドアの場所っていうのは、階段の一番上。
 ドアの入り口が高い位置にある、変わった部屋だった。
 部屋の中に入って階段を一番下まで降り上を見ると、10メートル以上ある高い天井。
 部屋の面積も大きい。学校の体育館みたいな場所だ。
 いや……それよりも、もっとずっと大きい。


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