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桃伽奈

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Posted by桃伽奈

種と蕾の先へ 76

桃伽奈



つくしside


 口をあんぐりと空けて大きな地下の空間を見回すと、花沢類は「後はするから」とヒロに言って、持っていたあたしのスマホを返してくれた。
 そしてポケットから取り出したGPD POCKET(ポケットサイズの小型パソコン)を両手で操作し始める。

「……ね、ヒロ。ここ何?」
『つくしにはどんな風に見える? 僕見た事ないんだよね』
 どんな風に……って……。
 深い地下にある、大きな空間……としか言いようがない。
 カメラに切り替え、ヒロにも見えるようにすると「うわぁ、凄いな……」と感動するような声が聞こえた。
 家具みたいな小物は何一つない。本当に周りをコンクリで固められただけの場所。
 こうして話している声も響いている。
「核戦争から逃れるための地下室とか?」
 ここなら何百人……いや千人以上は余裕で入る事が出来るだろう。
 あたしは想像して話すと、『あはは。なるほど……』とヒロが笑った。
「違うの?」
『ここはプールだよ』
「プール? 泳ぐの?」
『そうじゃなくて……。ここの公園の近くに川があっただろ?』
「うん」
『ニュースとかでさ、「記録的な大雨が降って川の水が氾濫」なんて聞くだろ。それを防ぐためにここみたいな川沿いの公園の地下には、水を溜めるためプールが作られているんだ。川の水が増えたら、一時的にこのプールに水を流し込み氾濫しないように調整する』
「……へぇ」
 あたしが感心していると、花沢類が続きを引き継いだ。
「プールに入った水は暫く貯めておいて、落ち着いた頃愛を見計らい地下の下水に少しずつ排出される。……こっち」
ついて来てと歩き出すので、後ろをついて行った。
「どこ行くの?」
「ここの製図を出したから、下水の入り口から地下を通って脱出しよ」
 GPDを見せてくれると、言う通りに図面みたいなものが出されていた。

『それで? 2人を襲った犯人に心当たりはないの?』
「分かんない。……けどポケコンを狙ってたんじゃないかって思う」
『ポケコン?』
 ああ、まだ話してなかったっけ……って思い、昨日花沢類のお父さんに会った事や、夢子さんからお母さんのポケコンを貰った事などを話した。

 話を聞き終えたヒロは、
『つけられた車のナンバー覚えてる?』
 と聞いてきた。
 あたしが「うん」って返事をすると、車の所有者を調べてくれた。
『会社名義だね』
「会社?」
『クライアントゴールド有限会社……まぁ便利屋に近い会社だけど、相手の素行調査や身辺警護などがメインみたいだね』
「そこの会社の人が、どうしてポケコンを欲しがるの?」
『誰かからの依頼だろうな。ポケコンの在処を見つける……もしくは手に入れろって感じ?』
「なるほど……」
「相手は俺達に襲い掛かってきたから、目的は強奪だよ。ただ何故ポケコンが俺に渡るのを知っていたか……っていうのは疑問になるけど」
 GPDをずっと操作しながら歩いていた花沢類も会話に参加してきた。
『まぁ、そこから考えると、依頼者はそのポケコンの中身を類君に見られたら困ると思っている人物に間違いないね』

 ……見られたら困る人物?
 ってか、遺言だよね。
 遺産相続とか財産分与とか、そういうのじゃなさそうだけど……。
 何が書いてあるんだろう……。
「中身を見たら分かるよ」
 至極もっともな意見の花沢類に、「そうだね」と答えた。
「でもまずはここから出て、外に出よ」
「うん」
 やがてグレーチング(道路の排水路に被せる蓋。よくヒールが刺さるやつ)のようなものが縦にはめ込まれた壁に出くわした。
 四方1メートルくらいのサイズのグレーチングを花沢類が手で外すと、奥には1メートル先くらいに壁があり、行き止まりになっている。
 この後どうすればいいのかな? って黙って見ていると、GPDを操作しだす。
 すると壁の方から「ピピッ」とまた電子音がして行き止まりだった壁が上へスライドして収納されていった。

「ここからプールに入れた水を排水するんだ」
「へぇ……」
 下水へ続く道。
 中を歩くにはちょっと天井が低かったので、手に持っていたスマホを「ヒロありがとう」とお礼を言って切り、ポケットにしまった。
 花沢類もGPDをポケットに入れると、四つん這いになりながらトンネルのような場所を進んだ。

 暫くすると、話していた通り下水に到着する。
 あたし達はそのまま下水の中を通り、公園から離れた。





 花沢類は家に向かうのかなって思っていると、着いたのは英徳学園。
「家の方はマークされている可能性があるから。こっちの方が多分安全」
 なんて言うけど、今日は土曜日で完全下校の時刻がいつもより早いからもう過ぎてしまい、すでに門が閉鎖している。
 この壁を登って侵入するのかなって思っていると、またGPDを操作し、門の鍵が開く。

「……花沢類にとって……そのGPDは手放せないね」
「ここは別に変な事してないよ。暗証番号は杏子さんに聞いているから、普通にアクセスしているだけ」
 ……ここはって事は。
 そうじゃない場所もあるんだよね……。
 例えば、さっきのプールとか……。
 門の中に入ると、「こっち。ついて来て」と言われ、案内されたのはいつだったか見に来た時計塔。
 老朽化で閉鎖されてしまい、残念だなって思っていた場所だ。
 入口は相変わらず鎖で巻かれ、南京錠が掛かっている。

「ここに何の用なの?」
「ここがこの前言っていた、俺の秘密基地」
「……え?」
 ここ? 
 って、この時計塔!?
「でも鍵が掛かってるよ。どうやって入るの?」
「裏に入り口があるから」
 花沢類は入口から塔の周りを歩き出し、丁度真後ろ辺りに来たと思ったら1つのレンガを手で押し込んだ。
 レンガが奥に入ると、カメラのようなレンズが見える。
 そこに瞳をかざすと今度は人が通れるくらいにレンガの壁が「ガコ」っと音を出して少しズレた。

 ……それって虹彩認証!?
 こうやって時計塔の中に入るんだ……とあたしは感心しながら後ろをついて行った。
 壁に沿った螺旋階段を登っていくと、2階があるくらいの高さの場所にドアが一枚ある。
 ドアを開けると、中にはベッドに鏡。冷蔵庫……と、花沢邸で見た花沢類の部屋みたいに見えた。
 1つ違う所があるとすれば、ヒロの部屋のように沢山あるパソコンの数。

 多分これも自作品なんだろうなって思わせるデスクトップの形だった。


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Posted by桃伽奈

Comments - 2

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2018/03/23 (Fri) 20:19 | EDIT | REPLY |   
桃伽奈  

な様
 訪問&コメントありがとうございます。

 いつもありがとうございます♪
 あははw
 私も小学校の時に作りました。草が茂る橋の下で秘密基地^^;
 冬は風が吹きっ晒しで寒かったのを覚えていますww
 今思い出しても、あの頃は独特の空気?(あれが子供の世界っていうのかも知れませんが)あったなぁって思います。
 中学、高校もまた別の空気が存在していてw
 もう懐かしいとしか思えません^^;

 今後もゆっくりと明らかにしていって、ゴールに向かいたいと思いますw
 でもそろそろ一気に出してもいいのかな~とも思ったり……^◇^;
 お話を読んで下さりありがとうございました。
 桃伽奈

2018/03/24 (Sat) 10:09 | EDIT | REPLY |   

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