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桃伽奈

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Posted by桃伽奈

種と蕾の先へ 102

桃伽奈




花沢開side
 俺も花沢物産を日本一の貿易会社にするため、大学へ進学したら勉強に励んだ。
 楓は俺達とは違い、英徳女子短大に進学した。
 2年間そこで勉強をしたら、卒業後すぐに見合い結婚をする。
 相手はなんとあの道明寺財閥の息子だ。

 楓は『将来、世界番付に載るような人と結婚しようかしら』と冗談ともとれる言い方をして、高等部を卒業していった。
 聞いた話だと、楓の方から彼に結婚を申し込みたくて、仲介者を通じて見合いをしたらしい。
 まさか本当に実行するだなんて……って半分呆れながらも、俺達みんな結婚式に参列し祝福した。
 そして一人息子の司を日本で産んだら、旦那がいるNYへ行き、新たに大学へ入り直し勉強し直した。


 俺は一年遅れで高等部を卒業した里佳子と学生結婚をした。
 里佳子は楓と同じ短大へ通いながら、ボランティア活動に力を注いだ。
 最初は個人でしていたが、そのうち里佳子の背には花沢物産の名がついて回るようになる。
 類が産まれた頃からは、英徳学園の父親の力も借り、活動範囲はどんどん広がっていった。

 夢子も卒業と共に、許嫁の大河と結婚。
 タイミングよくなのか、同じ時期に2人は妊娠し、同じ年の男の子が産まれた。
 家元になる条件で政略結婚した裕二郎も息子を授かり、楓も同じ年に子供産んだ。

 千恵子も英徳の女子短大へ進学した。
 美作商事の式典パーティーに夢子に誘われ遊びに行った時、旦那となる牧野晴夫氏に出会った。
 お互い一目惚れ……といった感じだったが、表向きただの社員の牧野氏との交際を千恵子の家は猛反対した。
 牧野氏自身、美作商事の諜報員という自分の本当の仕事について考えると、千恵子を両手広げて向かい入れる事は出来ないようだったが大河と夢子が説得をし、千恵子が家を勘当される形で2人は結婚した。
 今まで経験した事のない庶民生活に、千恵子は持ち前の負けず嫌いと元気で毎日を楽しく過ごしているようだった。
 長女のつくしを産んだ時、里佳子と夢子はお祝いを持って千恵子を訪ねた。
 着れなくなったベビー服を渡したりする口実を作っては、1つ違いの類やあきらを連れて、つくしとよく一緒に遊ばせていた。
 しかし、それも千恵子が2人目の子供を産み、病気で亡くなってからは交流がなくなってしまう。

 そして2009年にあの事故が起き、里佳子と牧野晴夫氏が亡くなった。

 なのはな施設で、イクイップメント広田と谷本薬品の実験が続けられているという情報を得た大河は、美作商事の諜報員を送り込み独自で調べていた。
 そこで牧野氏は美鈴の名前を発見し、現在の居場所を突き止めた。
 里佳子と連絡を取り合い、一緒に向かう途中、車内で遺体が発見された。


 俺は里佳子が美鈴の居所を突き止め、それを確認する途中で亡くなったんだとお義父さん(理事長)に話すと、美鈴は英徳大学病院の隔離病棟でずっと入院していたと口を割った。
「美鈴はずっと英徳にいたんですか? 何故黙っていたんですか!」
「お前達に話さなかったのは、美鈴君の両親が望んだからだ。もう君達を関わらせたくないと言ってな……」
 ……!?
 どういう意味だ、それは……。

 俺はお義父さんの許可を得て隔離病棟へ行き、現在の美鈴の様子を見て俺達に関わらせたくないと言うよりも、美鈴の両親はもう誰にも関わりたくないと言っているように感じた。
「会ってお話する事は出来ませんので、こちらのマジックミラーから様子を見てください」
 と案内してくれた看護師に言われ、言われた場所から部屋の様子を窺うと、美鈴は部屋の中で本を読んでいた。
 でも大人が読むような本ではなく絵本だ。
 それも無表情で読んでいる。
 入館許可証を首から下げた女性が美鈴に何か話しかけているが、反応せずただ絵本を読んでいた。
「あの方はカウンセリングの先生です。英徳大ではなく、他所から来ていただいています」
 看護師の説明に美鈴は倒れて入院した後、2日後に無事意識は戻ったがそれまでの記憶はなくなり、知能レベルが幼児期まで下がっていたと聞かされた。
 そこから回復する見込みは現在なく、たまに里佳子を襲った時のように暴れ、手が付けられなくなるような発作が起きるらしい。
 『ブルー・N・H』の匂いを、何かの拍子に無意識的に思い出しての事だろうという、医師の見解だ。
 1人の人間を壊してしまうような薬に、俺は寒気を覚えた。
 それと同時に、広田への怒りが腹の奥の方で渦巻く。


 だが俺の渦巻く怒りは発散させることが出来ず、更に重くなる。
 里佳子の死に対して、でっち上げの記事が発売されると知ったからだ。
 俺はもちろん差し止めするよう動き出すが、それに異を唱えたのはお義父さんだった。
「こんな嘘の報道を何故止めないんですか? 里佳子を辱めても平気なんですか?」
 実の娘だろっ。
 怒りが収まらない俺は声を荒げながら責めると、お義父さんも辛そうな表情を見せる。
「この記事が発表されれば私は里佳子の父親として、不倫の責任を取り理事会で英徳学園理事長を解任される事になるだろう」
「……だったら」
 何故報道させようとするんだ!?
「先日、これが届いた」
「……?」
 一通の封筒を渡され、中を確認すると写真が一枚入っていた。
「……!!」
 里佳子と類……。
 2人がクラゲの水槽があるレストランに行ったのは話に聞いていた。
 写真はそこで楽しそうにクラゲを見ながら笑っている2人を隠し撮りしたものだ。
 しかも2人の顔には赤ペンで×印が書かれている……。

「……これは」
「私は警告だと受け取った」
 ……警告。
 確かに、里佳子の次は類だ……とも取れるが……。
 お義父さんは類を守るために記事の差し止めを行わないと決めたというのか……?
「今の私には、差し止めをして尚且つ類を守る力はない。美鈴君が倒れた時のように、正面向かって争ってもまた負けるだろう」
「……」
「……」
 ……負けたら今度は類が……。
 美鈴が倒れた時、広田に負けないためにも花沢物産を日本一の貿易会社にすると誓った。
 大きくするためにがむしゃらに働いているが、まだそこまで行っていないのも自覚している。
 まだまだ今の俺では、広田には敵わない。

 俺は奥歯が砕ける程の力を入れて、里佳子が不倫していたという醜聞記事が報道されるのを見て過ごした。


 その後、お義父さんは理事会で理事長を退任し、義妹の杏子が後を継いだ。
 谷本薬品の久我武文も、里佳子が亡くなった事に酷く落ち込み、谷本薬品を手放した。






※これで過去編終了です。お付き合いありがとうございました<(_ _)>


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