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桃伽奈

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Posted by桃伽奈

種と蕾の先へ 105

桃伽奈



つくしside

 美作さんは「犬の訓練所の事を調べてみる」と言って、時計塔を出て行った。
 出る時に花沢類は、
「あ、そうだ。あきら、これクリーニングに出しといて」
 と言って、あたしの汚れた制服を渡している。
 下水の中を通ったから少し匂いがついてしまったそれを受け取った美作さんは、眉根を寄せた。

「類……。俺が潔癖症だって事、覚えているよな」
「ん、でもここ洗濯機ないし」
「……」
「……」
「……せめて何か袋に入れろっつーの。ここにはナイロン袋とかねぇの!?」
「あ、美作さん。あたし自分で洗うから……」
 自分の制服だし……。
 う思って受け取ろうとすると、
「いいよ、洗濯しといてやるから。それより制服の予備はあるのか?」
 と気遣いを見せてくれた。
 それには花沢類が答えてくれる。
「大丈夫。購買部に行って新しい制服用意するから」
「花沢類!?」
 あ……新しく買うの?
 ここの制服、どこかのブランドを使っていてすごく高いんですけど……。
「なら心配ねぇな。牧野、洗い替えにもう一着用意しとくのも悪くねぇだろ」
「いらないよ。一着で十分!!」

 断ったが2人からは受け入れてもらえず、美作さんが帰った後、誰もいない校舎へ花沢類と2人で出向いた。
 購買部で花沢類があたしの新しい制服を用意する。
「お金は俺が払うから」
「そういうわけにはいかないよっ」
 あたしが着るんだし……。
「汚したのは俺のせいでしょ。弁償の意味もあるから受け取って」
 そう言いながら勝手に事務手続きを済まし、制服をプレゼントされた。


 その日の夜も、花沢類は後を付けてきた人物が花沢邸の周りにいるかも知れないからと、家には帰らず時計塔で泊まる事に決め、あたしにも一緒に残るよう勧めた。
「牧野も顔がバレてるし、それに制服着ていたからこの学園の生徒なのもバレてる。そこまで分かったら住所を調べるのは簡単だよ。心配だから一緒にいて」
「……わ、わかった」
「ところでさ……。さっきあきらが言っていた事」
「うん」
「2人で何か話していたの?」
「え?」
 何かって……?
 質問の意味が分からず首を傾げると、花沢類は重ねて聞いてきた。
「あきらが俺に妬くような話じゃないって言ってたけど、……気になる」

 …。
 ああ……。
 ママ達が高校生だった頃の話を聞く前に、美作さんがあたしに言った言葉だ。

「えっと……。美作さんが花沢類の事をすごく心配していて、あたしに話しかけてくれたことがあったの」
 それは初めて入ったF4専用ラウンジでの事だ。
「あきらが?」
「うん。その時にお互いもっと話なさいって言われた。あたしの事は妹みたいに感じるから、ついお節介を焼いちゃったって言ってた」
 確か……花沢類を弟みたいに感じるって話は、内緒なんだったよね……。
「それいつの話?」
「……えっと、花沢類と一緒にヒロの家に行く前日だったかな」
 あたしが思い出しながら話すと、花沢類は「そっか」と納得した。

「あと進が言っていた事も気になる」
「進が?」
 何を言ってたんだろう……。
 花沢類はこの際、気になっていた事をすべて聞き出そうとする勢いだ。
「牧野の好みのタイプが、ぽっちゃり系だって話してた」
「……なっ。なっ……!!」
 なんちゅーことを話してんだっ!
 進はっ。
 今度会ったら、脇固めをかけてやる……。いや逆エビ固めか……?
 あたしが心に誓う間も、花沢類のビー玉のような瞳はあたしをジッと見ていた。
「……」
「……」
「……た、大した意味はないから」
「小さい意味ならあるんだ」
 あ、上げ足ぃ……。
「……」
「……」

「だ、だからっ……。小学生の時に仲良かった男の子がぽっちゃりしていて……ヤスがその子をあたしの初恋だって揶揄った事があったのっ!」
 あたしは無言で見つめてくる花沢類の視線に耐え切れず、やけくそ気味にまくし立てた。
 初恋だっていってもそんな大げさな話じゃない。
 が合うから教室でよく一緒にいたし、休み時間とかも仲良く遊んだってくらいだ。
 花沢類を好きだって思う気持ちとは違う。
 その子とは一緒にいても、苦しくて胸が締め付けられるような事なんてなかったし、好きの種類が違うんだからっ!
「ふーん」
 花沢類は自分から聞いておいて、どこか拗ねたような相槌を打った。
 ……。
 ……進め。
 本当に余計な事を……。
 ……。
 小学生の時じゃんっ。

「花沢類の初恋は?」
「俺? ないよ。他人に興味なかったから」
 そ、そうなんだ……。
 花沢類にもそんな過去あるんでしょって形勢逆転を狙い聞いてみたが、そうではなかったみたいだ。
「今、そいつはどうしてるの?」
「え?」
 そいつって、あの男の子だよね……。
「さぁ……。中学が別々になったから、それから会ってない」
「ふーん」
 また、さっきと同じ、ふーんだ……。
「だからっ、花沢類とは好きの種類が違うんだって!」
「どう違うの?」
 ど、どうって……。
 それを説明するの?
 なんかすごく恥ずかしくなっちゃうんだけど………。
「……」
「……」
「あ、あの子には、友達に対する好きだったけど……花沢類は……」
「俺は?」
 ……な、なんか意地悪だよね。
 本当はもう分かってるんじゃないの?
「……」
「……」
「……こ、……恋人の意味で……好き」
 上手く言えないっ。
 これで通じるかな……ってか、通じて欲しい。
 恋人って言っちゃったけどいいんだよね。
 だって、Hだってしたんだし。

「……牧野」
「は、はいっ!」
 名前を呼ばれ弾かれたように顔を上げると、思っていたよりも近くに花沢類の顔があった。
「可愛い」
 ……え?
 花沢類の言葉の意味を考える間もなく、顔が近づいて来てキスをした。
 そっと触れるだけで離れた唇に、もっと深いキスを沢山したなって昨夜のことを思い出す。
「何物足りなさそうな顔してんの」
「し、してないよっ」
「そ? 昨夜はかなり無理させたから今日は我慢するつもりだし、……だから牧野も可愛い顔して誘わないで」
「え?」
「言っとくけど、あの2回戦は牧野が悪いんだからね」

「ええええ」
 そ、それは責任転嫁だっつーのっ!


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