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桃伽奈

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Posted by桃伽奈

種と蕾の先へ 143

桃伽奈



類side

 深夜のこの時間、当然学園は開いていないのだが、俺はいつも通りGPD POCKET(ポケットサイズの小型パソコン)を使い、門を勝手に開けた。
 桜子と運転手の人は車の中で待っていると言うから、つくしを連れて2人で時計塔の中へ入って行く。
 自分の部屋に入ると、司、総二郎、あきらが待っていた。
「お、やっと帰って来たな」
「んな事言って、じつはつくしチャンの発信機付きピアスのおかげで、ここに向かっているのはバレバレだったけどな」
 司が待ちくたびれたように背伸びをして言い、総二郎はつけっぱなしになっているパソコンのモニターをチラ見した。
 そこには、つくしの現在地の位置情報や腕時計から発信される心電図が映っている。
「おかえり」
 締めくくりのようにあきらが俺達に挨拶すれば、驚いた顔を隠さないつくしはそれでも「た、ただいま……」と返した。

 俺はパソコン机の引き出しに入れていた、父さんのポケコンを取り出した。
「それで大丈夫なわけ?」
「例のお香吸ったんだろ?」
 みんなは話しながらつくしの周りに集まってくる。
 長身の男、それもF4の3人に囲まれたつくしは固まってしまった。
 微動だにしないのをいいことに、3人はつくしの瞳を覗き込む。

 まぁ、気になるのはわかるけどな……。
 ちょっと近づき過ぎじゃない?
 司が俺と同じように、つくしの舌瞼をあかんべえのように下げた時点で、
「大丈夫だから! この後病院でちゃんと検査もするし」
 と俺が割り込み、つくしの腕をとって3人から剥がした。
 つくしも助け船が出されたって顔をした後、「な、何で知ってるんですか? あたしがなのはな施設にいたことをっ」と声を上げる。
「それは歩きながら話すよ。おいで」
 つくしの腕を持ったまま部屋の入り口に向かうと、3人も後をついてきた。


 先日、総二郎、あきら、司がそれぞれの親からポケコンを預かり持ってきてくれた。
 4台が揃った時、すぐにでも時計塔の機関部へ行って開けようと思ったのだが、つくしにもその場に立ち会ってほしいと思ってしまい、開けるのを3人には少し待ってもらっていた。
 そして今夜、つくしに会いに俺がなのはな施設へ行くことが決まると、みんなは俺達が帰って来るまでここで待つという。
 5人が揃ったことで、俺達は時計塔の機関部へ向かった。

 持っていたペンライトは、なのはな施設で犬に投げてしまったので、スマホのライトで足元を照らしながら階段を登って行く。
 俺のすぐ後ろをつくしも腕時計のライトを照らしながらついてきた。
 そのさらに後ろをあきら達がそれぞれの親から預かったポケコンを手にして登ってくる。

 俺はつくしに、母さんの遺言には続きがあった事や、機関部に隠してあるフロッピーについて話した。
 つくしの生い立ちや仕事についても、もうみんな知っているんだと話した時には階段を登る足を止めて困った顔をしたが、つくしのすぐ後ろを歩いていたあきらが、
「もう仕事は止めるんだろ? それに俺達はそんなの気にしてねぇよ。それよりも何か困ったことがあったら、今度から俺に相談しろよ」
 やっぱり牧野は妹っつー感覚が抜けねえわ……なんて言いながら、つくしの頭をポンポンと叩く。
 それに少し照れたようにつくしは肩をすぼめた。
 その態度が面白くなくて、
「何? その妹って……」
 ムッとした表情を隠さず言うと、
「妬くな類。そのまんまの意味だ」
 と、あきらが苦笑いした。
「親の話をまとめるとさ。お前ら3人は牧野の母親が死ぬまでは一緒に遊んでいたりしたんだろ? あきらも前戯儀式の中では覚えているっつーことじゃねえか?」
「……司、それ「潜在意識」だろ」
「どんな儀式だっつーんだ。恥ずかしい奴だな……」
「っるせい!!」
 総二郎とあきらにツッコまれ、司がキレている。

 確かに覚えてはいないけど、母さんと夢子さんはまだ小さい俺達を連れてつくしに会いに行っていたらしいし、その予想は嘘じゃないかも知れないが……。
 やっぱり面白くない。
 つくしが他の男に頼るなんて……。

「じゃぁ、今からその金庫を開けに行くの?」
 つくしはそんな俺の気持ちには気付かず、これからの事を聞いてきた。
「そ」
「よかったぁ、残ってて。あの時、フロッピーは盗まれたとばかり思っていたから……」
 つくしは情報処理部の部室が荒らされた時の事を思い出したみたいだ。
 確かにあの時、目の前にあったのに侵入者に取られた事で、すごく悔しい思いをした。


 そんな会話をしていると、機関部がある場所まで辿り着きドアを開ける。
 前回この部屋へ入った時に金庫の場所は確認済みなので迷うことなく一直線に行き、部室のフロッピーが盗まれた時にあの部屋から、つくしと一緒に持って帰ってきたポケコン専用のコードで、金庫と親のポケコンを繋ぐ。
 まずは当時の情報処理部部長、司の母親からだ。
 司が繋いだポケコンの電源を入れプログラムを起動させると、ポケコンの液晶画面に、読み込まれていくプログラムが流れていった。
 アルファベットと数字で書かれた羅列の動きが止まったと思ったら、最後の一桁には「next」と出る。
 次は総二郎が父親のポケコンに繋ぎ直し、同じように起動するとまたプログラムが流れていった。
 それを繰り返し、最後に俺の父さんのポケコンを読み込み終えると、金庫の壁が少しだけ浮く。

 手前に引く感じで壁のドアを触ると、開いた中には30㎝四方の空間が見えた。
 中の中心部分に、目的のフロッピーが一枚だけ鎮座している。
 俺が腕を伸ばしてそれを手にすると、横でつくしが、
「あったね」
 と言うので俺は彼女の顔を見て、
「ん」
 と返事を返した。


 これから病院に行く俺達はここで司達に別れを告げ、桜子達が待っている車まで戻った。
 車の中で桜子から返して貰った『ブルー・N・H』が入っている缶のペンケースと、つくしのパパさんが使っていた腕時計と、司から預かったマイクロSDカード、それに今手に入れたフロッピー全てを鞄の中に入れ、俺達は英徳大学病院へ向かった。


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