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桃伽奈

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Posted by桃伽奈

蛍(theme [firefly])

桃伽奈


牧野 つくし。
大切な大切な、俺の彼女。

何処が好きかって?
えーーっと……

笑顔が可愛い、真剣な横顔も好き。
見上げて来る瞳が好き。『花沢 類!』って呼んでくれる声が好き。
困った顔も怒った顔も、好き。
努力する姿勢が好き、真っ直ぐな性格も好き。
全部全部、大好き。

最近、総二郎に『牧野バカ』って云われたけど、バカで結構。
牧野が喜ぶ事なら、何でもしてやりたいっ!
が、本音だ。
しかし彼女『勿体無い』を地で行く性格なのは周知の事実な訳で、特にモノに関しては欲しがるという事が無い。
斯くして俺は『牧野が喜びそうなモノサーチアンテナ』を張り巡らしている。


今日も牧野の膝の上で情報収集中だ、
何時もの事だけど爆睡のふり。


「ねぇねぇ、桜子。これ見て都内で蛍が観られるんだってっ♪」

「蛍ですかぁ~?確かに夜はロマンチックですが、……虫ですからねぇ、桜子は御免です」

「そうかなぁ~あんな風に光るのって、十日間位らしいよ?」
「最愛の相手を見つける為に頑張って光ってる訳だし…」

「昔、ウチの爺さんが子供の頃は、都内でも普通に飛んでたらしいけどな」

「ふーん、何か寂しいね」

「都内でも保護活動が盛んな地区が在るらしいぞ」

「へぇ~そうなんだぁ~」

「なんだよ牧野、そこの寝てる奴に連れてって貰えよ」
「何なら、俺が連れてってやろうか?」

「総二郎、止めとけ類に絞め殺されるぞ」

「……チッ」


……総二郎、勝手に俺の彼女連れ出さないでね。ホント、油断も隙もあったもんじゃないよね?

…成る程…ね

……確か…あそこのプロジェクトには花沢も関わってたよな?


***


付き合い始めてからは余程の一大事でも無い限り、週末デートを死守している。
何時ものノンビリまったりデートもお気に入りだけど、牧野の望みは叶えてあげたい。
尤も今回は直接聞いた訳では無く、膝の上で寝たふりして得た情報だ。


明治の元勲の一人 山縣 有朋がこの一帯を購入、自身の屋敷を建てその名を付けた。
時の流れの中で主は変わっても、現在にその名と庭園を残しホテルとして生まれ変わっている。
今日は、そのホテルの庭園を散策した後、蛍を観ながらディナー、勿論予約済み。その後も蛍の飛び交う庭園を散策しようと思っている。

何時もの様に牧野を迎えに行って、行き先を告げずにホテルの正面玄関口に車を付けた時の驚いた顔が、可愛いかった。


「ねぇねぇ、ここ蛍が観られるのよね?」

「だね」

「来たいと思ってたの、でも敷居が高くて無理かな?って」

「…ごめん、この前膝の上で聞いてた」

「えっ!もうっ、寝たふりしてたの?」

「まぁね、ここの蛍プロジェクト、花沢も関わってるんだ」

「そうなのっ!水質まで研究してるんでしょ?凄いよね」

「らしいね、俺は関係者じゃ無いけどね」

「ううん、……ありがとう」

「毎年、観に来よう」

「うん♪…嬉しい」


広い庭園を散策中、パラパラと雨が降って来た。
心配そうに空を見上げる牧野の手を引いて、
通り雨だから直ぐ止むよとエントランスに駆け込んだ。

大丈夫、きっと雨は上がってくれる。


この時期は浴衣のレンタルをしているらしく、折角だからと、二人で着る事にした。

俺は鉄紺色の地によろけ縞、数匹の蜻蛉柄、
牧野はごく薄い白縹しろはなだ色に向日葵と流水の模様。帯は、お揃いで少し光沢のある青漆せいしつ色にした。相右近あいうこん型の黒塗りの下駄に赤い鼻緒。
その赤が彼女の白い素足に鮮やかで、
おそらく、俺はニヤケていたと思う。

勿論、二人が着た浴衣一式は買い取る、彼女が着た浴衣を他の奴に着られるなんて、我慢出来る訳が無い。

いつもなら食事に夢中になるのに、今日の牧野は外の様子が気になるらしい。

ほら、もう小降りになって来たよ。

食べ終わる頃には雨はすっかり上がり、星空が覗いていた。


明るいエントランスから庭園に出れば、雨上がりの蒸し暑さが身体に絡み付く。
夜の暗さに目が慣れ、至るところに蛍の存在を確認した時の牧野の嬉しそうな顔に、
正直ホッとした。

俺の手を引き、小走りで先を急ぐ。


「牧野、走らなくても蛍は逃げないよ」

「だってっ♪」

「ほら、転けるって」

「もう、早く早くっ」


昼間、「沢山観られますよ」とコンシェルジュから聞いた一帯に着いたと同時に、
湧き上がる様に飛び始めた蛍を、二人 言葉無く暫し見入った。

星空の中に迷い込んだみたいだ。


「……綺麗ね」

「あぁ、凄いな」


ふわふわともゆらゆらとも形容し難く飛び交う蛍の群れから、一匹が牧野の肩に止まる。


「……ぁ……」

「ふふ、どうしたの?」
「………疲れた?」

「コイツ、俺の彼女に求愛してる?」

「あはは……蛍にモテちゃった♪」

「ダメダメ、牧野は俺の彼女だからっ!」
「他所に行って探しな」


牧野の肩で『結婚して下さい!』と言わんばかりに瞬く蛍。
そっと掴んで、彼女に渡した。


「……ほら、お気に入りの彼女の所に行って光らないと…振られちゃうぞ?」

「簡単に諦める様じゃ、見込みは無いね」

「あはは、ひと休みしただけだよね?頑張るんだよ」


「……ねぇ、この子達…この夏で死んじゃうんだよね…」

「……ん、そうだね」

「………何か……切なくて…」

「………ん……」

「綺麗過ぎて泣きそう」
「来年観られるのは、この蛍の子供達?…」

「……ん、そうだね」

「ねぇ、花沢 類。来年も必ず来ようね」

「ん、必ず」


牧野が「来年も…」と言ってくれた事が、
未来の約束をくれた事が、最高に嬉しかった。

一歩踏み出し、蛍が飛び立ち易い様に手を翳す。


「…ほら、皆の所に戻って…」


懸命に明滅する小さな生命を掌に乗せて、
大切そうに掲げ放とうとする。


俺は、少し涙目のその横顔に見惚れる。

こんな風に、これからもずっと見惚れるのだろう。
隣に居てくれるあんたに。


きっと来年も、今日と同じ様な顔をするんだろうな……


ねぇ牧野、必ずだよ?一緒に観よう





…………………………by 空色🍀






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Posted by桃伽奈

Comments - 6

There are no comments yet.
スリーシスターズ  

空さん、こんにちは。
類くん&つくしちゃんごちそうさま💕
今日も猛暑日の予想が出ている中、朝は涼しいはずなのに、朝から気温が一気に上がった気がしました!(^^)!
類くんいつも寝ているだけではないんですね~
つくしちゃんに行きたい所ある?とか欲しいものある?とか聞いてもいらないとか、一緒に居られればどこでもとか答えちゃいますもんね!
寝たふりをしてしっかりリサーチ!!
流石類くん!
蛍が見られる場所、一時期に比べるとちょっと増えましたかね?
でもまだまだ少ないですよね。
蛍はテレビや本でしか見たことがありません。
幻想的で綺麗だよ~と聞いたことがありますが、中々足を運べず(;_;
いつか見れるといいな~と思います。
蝉と同じく蛍の命もはかないんですね・・・
幻想的な蛍を見ながらの2人の会話がまた素敵で、切ない蛍を思いながらも未来への希望も語っている2人がとても綺麗に描かれていて、空さん素敵~✨と惚れてしまいました❤
来年もその先も、2人で一緒に蛍を観てくださいね🎵

2018/07/15 (Sun) 11:21 | EDIT | REPLY |   
空色  
ありがとうございます(*^.^*)

スリーシスターズさま
ありがとうございます(*´∀`)♪
いやいや、お粗末様でございます(^_^ゞ
はっ!猛暑続きなのに…、大丈夫だったでしょうか?
そうなんですよぉ~
寝てばかりの類ですが、つくしの事になると頑張ります、キリッ!
蛍については、決して詳しい訳ではありませんでしたので、少し調べてみたりして。
蛍は成虫になったら食事はしないのだそうです。お水のみ、しかも川の水ではなくて、
「夜露」なのだそうです。
うーん( ´~`)
ますます、刹那的ですね……(T_T)
ありがとうございました🍀

2018/07/15 (Sun) 20:07 | EDIT | REPLY |   
さとぴょん  

「牧野が喜びそうなものサーチアンテナ」(笑)
類がつくしの膝枕で寝るシーンって普通に好きなんですが、
みんなの前で、つくしの膝枕で寝る類くんって
読んでるこっちが照れるんだけど、意外と萌えツボな私です(笑)
しょせん虫ですから。桜子・・・(笑)
「コイツ俺の彼女に求愛してる?」
「あはは・・・ホタルにもてちゃった♪」
可愛い会話ですよねぇ♡
ホタルに語るふたりの雰囲気がとてもむつまじくて
優しい光を放つほたるのとのシーンにぴったりでした♡
空色様
素敵なお話ありがとうございました(*^^*)♡

2018/07/16 (Mon) 15:22 | EDIT | REPLY |   
空色  
ありがとうございます(*^.^*)

さとぴょんさま
ありがとうございます(*´∀`)♪
やったぁーヽ(*´▽)ノ♪
萌えツボゲットだ♪♪
つくしの膝枕で爆睡(フリだけど)、皆の前だろうがつくしが恥ずかしがろうがお構い無しです(フリだけど…)、
情報収集が何より大事!(最後にもう一度、寝たフリしてでも…)
総ちゃんとかあきらくんへの牽制も含まれるのかもしれませんね…うふ(´∩∩`)
(つくしの事になると大人気ない…類…でも、好き♪)
ありがとうございました🍀

2018/07/16 (Mon) 17:04 | EDIT | REPLY |   
mizutama  

こんにちは
素敵なお話ありがとうございます。
幻想的な蛍の光。その命の尊さと儚さが紙一重で更に美しさを増して感じますね。
そして、その小さな儚くも尊い命にも涙を浮かばせるつくしを側で見る類くんは、なお一層愛おしく感じることでしょう。
いつもの日常の中にある幸せ、それをこうして愛おしく感じることってとても素敵ですね。
ありがとうございました。

2018/07/23 (Mon) 18:48 | EDIT | REPLY |   
空色  
ありがとうございます(*^.^*)

mizutamaさま
ありがとうございます(*´∀`)♪
初めは単純に蛍を観たいつくしの希望を、
サプライズで類が叶えてあげるお話だったのですが…、
如何せん知らない事が多すぎる為、少しばかり蛍について調べてからになりました。
成虫になってからは水のみ、しかも夜露のみで生きる事。
幼虫の時に蓄えた栄養が、7日~10日で無くなり死んでしまう事。
知らない事ばかりでした。
(反省…( ´△`))
小さい小さい生命の尊さとか、儚さ、来年の約束が出来る普通の幸せとか表現出来てたかな?
素敵と言って頂き、とても嬉しいです(#^.^#)
ありがとうございました🍀

2018/07/24 (Tue) 00:31 | EDIT | REPLY |   

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