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桃伽奈

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Posted by桃伽奈

夏祭り(theme [festival]) 後編

桃伽奈


牧野のリクエストで夏祭りに行くことになった。

家元夫人が用意した浴衣は、浴衣のくせに一着普通自動車が余裕で買える品。
それをあの家元夫人が牧野に預けるって、もしかしたら牧野の事をかなり気に入っているのかも知れないなと思った。容易に人を信用しないあの家元夫人が・・・。
牧野の好みが反映された浴衣は、牧野の肌の白さが際立つ濃紺と百合の柄が超似合っていた。
俺としては浴衣を脱がしてすぐにでもベッドの上で牧野とイチャイチャしたかったけれど、あの大きな潤んだ瞳で夏祭りデートをおねだりされちゃあ、仕方ない。
はあ・・・、惚れた弱みってやつだよなぁ。


早速、夏祭りに繰り出してみると、思っていたより規模が大きかった。参道には露店がひしめき合い、様々な食べ物が売られていた。
牧野は着くなり、あれ食べたいこれ食べたいとはしゃぎ始めた。あちらこちらから食欲をそそるような、いい香りがするのだから仕方ない。

俺自身がこういう夏祭りに行ったのは幼い頃以来。爺様が元気な頃、弟と俺を連れて屋敷を抜け出して「内緒だよ」と杏飴をかってくれたっけ。

そんなことを考えながら歩いていたら、どんどん人が混んできて、牧野とはぐれてしまったことに気が付いた。
小さな神社と牧野は言っていたが、小高い山の上に神社があって、その神社を取り囲むように露店がぎっしりと並んでいて、それなりに大きな神社だった。時間帯もあるだろうが、人が多くなってきて動きがとりにくい。
俺を見てキャーキャー騒いで駆け寄ってくる女どもが増えてきたから、さらに歩きにくくなっていた。

やべっ。
牧野は意外と何らかの騒ぎに、巻き込まれるタイプだからな。
早くみつけないと・・・。

俺の腕を取ろうとする奴らを跳ね除けながら、牧野を探す為に人を掻き分けていくと、物凄い人集りのある露店を見つける事ができた。
若い女が金魚掬いで名人技を披露しているとのことで、急いで駆け付けてみると、野次馬がやんのやんのと大騒ぎをしていた。

「よし!ねえちゃん!いけっ!」
「ママ〜、あのお姉ちゃん、すごく金魚を取ってるよ!」
「あの子さ~、超かわいいのにすごいね!」
・・・。
なんか。
メッチャクチャ嫌な予感がするんだけど・・・。
もしかして、もしかすると・・・。

視線を野次馬がある方に向けてみると、浴衣の袖を肩まで捲った牧野が金魚掬いのポイを持って、大量の金魚を桶に掬っていた。
芸術的な牧野のポイ捌きによって、金魚はドンドン桶に入っていく。それを見ている野次馬は大歓声をあげて大喜びをし、応援合戦を始めてしまった。
正反対に店主は顔が引き攣りはじめ、ドンドン青くなっていく。

「おい、その辺りでやめておけよ?」
俺が牧野に声をかけると、西門さん!と言って、向日葵のような満面の笑みを浮かべて、振り返った。
「ふふふっ。見て見て。久々にやってみたら、昔取った杵柄ってやつ?
 こんなにとれちゃった!」
 キラキラと惜しみなく披露する笑顔は、夜だと言うのにとても眩しい。
邪心のない素直な心に触れたからか、俺からはぐれてしまったことなんてどうでもよくなっていた。

それよりも、この金魚、どうするつもりだ?
軽く50匹位はいるんじゃね?
やっぱ西門の池しかねぇか。
金魚にはちょい広すぎるくらいだけど・・・。


「おじさん、ありがとう。この2匹だけ、もらっていい?」
すると牧野は桶をひっくり返して、2匹以外の金魚を水槽の中に戻した。
それを見た野次馬達は勿体無いとか言いながらも、思い思いに散っていく。店主は苦笑いながらも残った2匹をビニールに入れて、持ち運びできるように包んで牧野に渡した。
「ほとんど返しちまったけど、いいのか?
しかもデコボコなサイズのこの2匹だろ?
もっと他のにしておけば良かったんじゃねぇか?」
「ふふっ。ちゃ〜んと、選んだよ。
・・・この黒い金魚、な〜んか、西門さんに似てる気がしたんだよね。
 こっちの赤に白いぶち模様の金魚が私。
 この2匹、とても仲がいいの。
最初はね、離れていたクセにどんどん近づいてね、いつの間か仲良くなって。
でね、仲良くなったらなったで、そこからずっと寄り添い合っているの。
 なんか、私たちみたいでしょ、この2匹。」

何気になく話すその言葉に、俺は思わず抱きしめたくなる衝動に襲われた。
牧野は相手に愛情表現を求めるタイプでもなきゃ、自分から表現するタイプでもない。
だけど面と向かって言われたら赤面するようなセリフを、下手してら聞き逃してしまいそうになる台詞をさりげなく呟く。
あくまでもさり気なく・・・。

「さてと・・・。こんな人が沢山くるお祭りだと思わなかったなぁ。
 仕事帰りだったのに、更に疲れさせることになってごめんね。
 それに、こんな沢山人が集まってくるところ、苦手でしょ?
 もう帰ろっか?」
あんなにさっきまでイキイキと金魚掬いをしていたのに、急にしおらしくなった。
こいつはこいつなりに祭りを楽しんでいるし、俺にも楽しんでもらおうと思っているのがわかる。

「確かに疲れてた。
 けど、そんなの、祭りを楽しんでいる牧野の顔をみたら飛んで行っちまった。
 ・・・それよりも、ここの祭り、結構露店が色々あるな。
 もうちょっとだけ、祭りを堪能しようぜ?」

 ふたり、並んで歩き、指と指を絡める。
 びくっと初々しい反応をする牧野の手を、逃がさないようにさらに深くつなぐ。
 
「なあ牧野・・・。
こうやって二人で寄り添って、一緒に歩んでいかねぇか?
この瞬間だけじゃなくって、これからも。
ずっと、ずっと、ずっと。」
牧野は歩みを止めて、俺を仰ぎ見た。
牧野の大きくてまん丸の瞳が見開くと、その瞳に映っているのは俺だけ。
その穢れない瞳は涙で潤み、一粒の涙がスッと頬を伝った。
「・・・うん、うん、うん。
ずっと、ずっと、ずっと。歩んでいきたい・・・。」

絡め合った指を更に強く互いに握る。
祭囃子が遠くで聞こえる雑多な中、二人の歩む音だけが鳴り響く。
カランコロンとなる下駄が、まるで二人の心臓の動きを表すように。






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Posted by桃伽奈

Comments - 4

There are no comments yet.
スリーシスターズ  

こんにちは。
花さん、お久しぶりです🎵
夏祭り、うちの近所でも神社のお祭りや自治会のお祭りなど始まりだしました!
屋台は毎年同じような物が出ているのですが、お祭りというだけで、なんだかワクワクしてしまいますよね🎵
つくしちゃんもお囃子の音を聞き、総二郎くんと行きたくなっちゃった!
ちょうど浴衣もありますしね🎵
ダメもとで誘ったらすんなりOK。
なんせ、総二郎くんはつくし好き好きマシーンですからね(笑)
つくしちゃんからのお願い断れるわけありません!
このつくし好き好きマシーンはかなりツボに入りました!(^.^)/~~~
つくしちゃん、金魚すくいで大量Getしたけどもらったのは2匹だけ。
そこからつくしちゃんの想いを聞いちゃったら、総二郎くんもう言わずにはいられなかったんでしょうね~。
ずっとずっと一緒に歩んで行こうって。
つくしちゃんもずっと待っていた言葉。
今この瞬間だけじゃなく、これからもずっと2人で歩んでいってくださいね🎵
花さんのお話、総二郎くん愛が溢れているんですよね~
もう総二郎くん大好き~が文章から滲み出ています!
たまに、つくしちゃんを花さんに置き換えて読んでもいいかな~(*^^*)なんて思いながら読んでいます!

2018/07/21 (Sat) 12:28 | EDIT | REPLY |   
-  

スリーシスターズ  様
コメントありがとうございます!
スリー様、お久しぶりです♡
夏祭りのシーズンがやってきましたね~。
本日、河杜の地元の公園ではお祭りがありました。
ビールと焼き鳥をたべまくって、ダイエットは明日からにしました(汗)
好き好きマシーン、どうしても書きたかった言葉の一つです♡
恋愛に関しては百戦錬磨な男が、コミカルな表現で愛情表現するのって
なんかいいですよね~。
本当に好きで好きで、たまらないのだろうなって。
おお!
つくし=河杜と呼んでいただけるとな!!
いや~~~ん、めっちゃ恥ずかしいw
・・・でも嬉しい(爆)

2018/07/21 (Sat) 23:17 | EDIT | REPLY |   
さとぴょん  

夏祭りからのまさかのプロポーズ
2匹の金魚ちゃんのように
寄り添うふたりにあたたかさを感じ
最後はしあわせな気持ちになりました。
花様、優しくて素敵なお話
ありがとうございました。
しかし、50匹は凄いよね(笑)

2018/07/24 (Tue) 14:10 | EDIT | REPLY |   
河杜 花  

さとぴょん サマ
コメントありがとうございます!
やはり取りすぎですよね(汗)
つくしちゃんってスーパーでの野菜つめ放題とか得意だったはずなので、ついつい取りまくったのだと思います(多分)
総二郎が発見してなかったら...。
おそらくもっと増えていたかも?!

2018/07/29 (Sun) 09:46 | EDIT | REPLY |   

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