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桃伽奈

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Posted by桃伽奈

海(theme[ocean])

桃伽奈


夏なんて、暑いだけで何もいいことなんてないって思ってた。
外に出れば茹だるような熱気で不快指数跳ね上がるし。
空調の効いた部屋で、冬眠ならぬ、夏眠するのがベスト。

…そう思ってたのは去年まで。

『ねぇ!類!海っ!海行こうよ♪』

向日葵みたいな笑顔で瞳をキラキラさせておねだりされたら断れるわけない。
彼女と一緒に過ごす、初めての夏。
夏が楽しみだって思ったのは生まれて初めてかもしれない。



☆--:*:--☆--:*:--☆



東京から車を走らせること、3時間。
白い砂浜に降り立った牧野の表情がパァっと綻ぶのを見て、俺も自然と笑みが浮かぶ。
真夏の太陽にも負けない、眩しいほどの牧野の笑顔。
それだけで幸せな気持ちになるなんて、俺って案外チョロいのかな。

ここは花沢系列のホテルの近くにあるビーチ。
もともと隠れ家的な立地にあり、訪れるのは地元の人くらい。
今日ここにいるのは数組の家族連れとカップル。
人混みは苦手だし、牧野が変な輩にナンパされる心配もない。
忙しない日常と切り離され、ゆっくりと流れる時間を牧野と過ごせるのは何よりの贅沢なんじゃないか、って思った。


レジャーシートを敷いて、日よけのパラソルを立てる。
クーラーボックスにはキンキンに冷えたジュースと軽めのアルコール。
牧野が持ってきた保冷バッグの中は、彼女お手製のランチだ。

「ねぇ!早く海行こっ!」

子供みたいにはしゃぐ牧野は、水着の上に着ていたパーカーとショートパンツをさっさと脱いで砂浜に駆け出す勢いだ。

「日焼け止めは?」
「ん?ザっとは塗ったけど…」
「ちゃんと塗っとかないと後が大変だよ。
 ほら、手伝ってあげるから。」

牧野の手を引いて座らせると、バッグから日焼け止めを取出して蓋を開けた。

「牧野は色白いから、シミになったら目立つでしょ。」
「それなら類だって色白いじゃない!
 あたしなんかより…」
「俺、何でか焼けないんだよね。
 そのせいで、ずっと病弱なイメージ持たれてさ。」
「んー、今まであんまり外に出なかったからじゃない?
 趣味が昼寝じゃ、日焼けなんてしないでしょ?」

クスクスと笑いながら露出した肌に日焼け止めを塗る牧野に、ちょっとした悪戯心が湧いた。

「後ろ向いて。背中塗ってあげる。」
「あ、うん…ありがと。」

くるりと俺に背を向け、膝を抱えるように座る。
肩口まで伸びた黒髪は綺麗に結い上げられていて、普段は見えない白い項に胸がドキンと鳴る。

―…キス、したい。

そう思った瞬間、俺の唇は牧野の白い項に触れていた。

「えっ…ちょっ、類?」
「シッ…黙って。」

日焼け止めを手に取り、牧野の無防備な背中に掌を這わす。
ゆっくりとマッサージをするように手を動かし、牧野の警戒心を解いていく。

「類の手、ひんやりしてて気持ちい…」
「そう?俺は牧野の肌のが気持ちいいけど…」

ほぅ…と息を吐き、抱えた膝に頭を凭れ、目を閉じる。
その姿にクスッと笑った俺に、牧野は気付かない。
肩口から肩甲骨へと撫で下ろすと、背中にある唯一の邪魔者に指を掛けた。

パチン。

「…え?類?」
「ん?だって、日焼け止め塗るのに、邪魔だから。」
「だからって…って、ちょっと…!?」

邪魔する物のなくなった白い肌をこれでもかというほど撫で回し、脇腹から前へと手を差し入れる。
クイッとその細い腰を引き寄せ、肌を密着させた。

「な、何して…」
「あんまり大きい声出すと、周りにバレるよ?」

柔かな肌を味わうように撫で、そのまま水着の中へと侵入を謀る。

「あ…っ」
「声、抑えて…触るだけだから。」

確信犯な指が、牧野の肌で踊る。

遠くに聞こえるのは、波と戯れる子供の声。
徐々にその声も聞こえなくなるほど、牧野の漏らす声が俺の聴覚を支配していった。






一頻りじゃれ合って、俺たちも海へと入った。
遠浅の海は透明度が高く、所々に小さな魚の姿も見え隠れしていた。

「シュノーケル持ってくればよかったなぁ…」

俺の悪戯に膨れっ面だった牧野も、綺麗な海を目の前にしてご機嫌な笑顔を見せる。
ま、膨れっ面も可愛いし、アレが照れ隠しだって知ってるから気にしない。

「今度来る時は潜る準備してこようか。」
「うんっ!」
「って、牧野、潜れるの?」
「ん?やったことない!」
「…俺も。」

目を見合わせ、クスクスと笑い合う。
けど、牧野と二人でなら、何でもできそうな気がするから不思議だよね。



浜に上がって、二人で海を見ながらランチを食べる。
ちょっとだけ、と持ってきた軽めなスパークリングワインを開けた。
ワイングラスではなく透明なプラスチックカップだったけど、『紙コップよりはマシだよね』と二人で笑った。
その後は海には入らず、浜辺を歩いて貝殻を拾ったり、遠くの景色を眺めたり。
時々キスをして、抱きしめて。
そんな他愛ない時間を満喫した。



帰り道。
牧野が『ちょっと寄り道していい?』と言うので、とある場所へと向かった。

「龍宮窟?」
「うん。すっごい綺麗なんだって!それに…」
「それに?」
「と、とにかくっ!行ってみよ!」

入り口のゲートを潜り、鬱蒼と生い茂る木々の間の階段を降りる。
波の打ち寄せる音とともに、開けた視界に一瞬息を飲んだ。

「う、わぁ…」

四方を岩壁に囲まれ、ぽっかりと開いた天井を見上げる。

「へぇ…これはすごいね…」
「うん…あ、でもね…」

牧野が俺の手を引いて歩き出す。
岩壁を登るように作られた遊歩道を進み、その天辺から下を見下ろす、と。

「あ…」

海水に浸食され、形作られたその洞窟。
その形が何とも不自然だけど、神秘的に見えた。

「ほら、あそこ…ハートの形みたいでしょ?
 もともとは2つの洞窟だったらしいんだけど、海水に浸食されて1つになって、こんな形になったみたい。
 そのせいか、ここは『愛のパワースポット』って言われてて…」
「そう、なんだ…」
「うん…だから、類と一緒に来たいな、って…」
「ん…俺も、牧野と来れて、よかった…」

繋いでいた手をグイっと引き寄せ、この腕に囲う。
パワースポットなんて迷信だとは思うけど。
それでも、俺と見たいと言ってくれた牧野がとてつもなく愛しくて。

「牧野…愛してる。
 ずっと一緒にいて…」
「うん…」

自然と重なった唇から注がれる愛情が俺の心を満たしていく。
自然が作り出したこの形のように。
俺たちの関係も、これからの長い時間をかけて変わっていくだろう。
それがどんな形を作っていくのかは、俺たちしだいなんだ。


―願わくば、このハート形のように…


永遠に繰り返される波のように、俺たちの愛も永遠に続くことを祈りながら。
甘い甘いキスを贈った。


おわり。






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Comments - 4

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スリーシスターズ  

こんにちは。
聖さん、お久しぶりです🎵
夏は冬眠ならぬ夏眠するのがベスト!(笑)
類くん春は春眠、秋は秋眠(なんて言葉ないですけどね~)(;^ω^)
春と秋はまだ気候がいいから出かける気になるのかな~(^^;)
類くんはいつも眠っているイメージですが、つくしちゃんのためなら何のその!
付き合って初めての夏なら尚更ですかね!!
隠れ家的な場所だから、つくしちゃんがナンパされる心配もないし、人混みでもないし、のんびりもできる!
イチャイチャするのも人目を気にせずにできる!
一石二鳥ならぬ一石何鳥!?
龍宮窟は私が行ったことある所かな~
黒船ペリーが来たところにある所。(ここにしかないのかな?)
愛のパワースポットなんて言われているのを知らなかった!( ゚Д゚)
行ったのもウン十年前です。
凄く綺麗だったのは覚えています。
私は夏じゃなくて秋に行ったので、夏とはちょっと違う見え方かもしれません。
2人で過ごしてとっても満喫できた1日。
自然が何年もかけて作り出した龍宮窟のように、2人の関係もこれからゆっくり時間をかけて、素敵な関係を築いていけるといいですね❤

2018/07/16 (Mon) 13:20 | EDIT | REPLY |   
さとぴょん  

聖様 お話ありがとうございました♡
夏眠(笑)類ならほんとにしそうですよね( *´艸`)♪
っていうか、現実世界もこれだけ暑いと私も夏眠したくなります~(;^ω^)
「声、抑えて… 触るだけだから。」
ここが凄くよかったです( *´艸`)♡
類くんってば、日焼け止め塗りながらなんつーことを!
人が少ないとは言え、全く二人きりじゃないのに
もの凄くエロナチュラルに犯行に及ぶ類くん・・・
これが大変美味しゅうございました♡(*ノωノ)♡
海は心も体も開放的になりますからねぇ♡
つくしも類くんの熱さに溶かされちゃっても無理ないですよね♡
二人で一緒にいられる喜びを
ゆっくり味わうふたり・・・
気持ちを確かめ合うように、
言葉で態度で伝え合う姿に
しあわせな気持ちになりました。
素敵な夏のお話ありがとうございました(*^^*)♡

2018/07/17 (Tue) 00:36 | EDIT | REPLY |   
聖  
スリーシスターズ様

お久しぶりです(*^-^*)
またまたお会いできてうれしいです♪
類は常に寝ているイメージで、夏は涼しいお部屋で夏眠の予定だったはず。
けどつくしのお願いとあれば、ワクワクしながら出掛けるんですね。
恋人と過ごす初めての夏を類君も満喫したんだと思います。
そして、つくしのことも…♡
龍宮窟、行ったことがあるんですね!
あの神秘的な形が愛のパワースポットと呼ばれる由来らしいですよ。
気付かないうちに、スリー様も愛のパワーをいただいてきたんですね!
いいなぁ(笑)
長い時間をかけてその形を作り上げたように、類とつくしも素敵な関係を作っていくのでしょう。
いろんな作家さんの、いろんな形を読むことができる、このイベント。
ぜひ、最後まで楽しんでいただけたら嬉しいです。
コメント、ありがとうございました(´▽`*)

2018/07/17 (Tue) 06:54 | EDIT | REPLY |   
聖  
さとぴょん様

お久しぶりです(*^-^*)
またまたお会いできてうれしいです♪
今年の夏も暑いですよね。
類君なら、きっと涼しい部屋で夏眠するでしょう。
つくしは類の抱き枕になってるかもしれませんね( *´艸`)
で、寝たフリをして、指先は…なんてね(笑)
さとぴょん様には物足りなかったんじゃないですか?
実際のアレコレは割愛しちゃいましたが、気が向けば書いてみたいと思います。
確信犯なのに、そうと悟らせずあくまで自然に…が類っぽいですよね。
拒むタイミングを失くさせて、そのままいただいちゃう感じ。
私は類にナニを求めてるんだか(笑)
この夏も暑くなりそうです。
体調には気を付けて、この後も楽しんでいただけたら嬉しいです。
コメント、ありがとうございました(´▽`*)

2018/07/17 (Tue) 07:10 | EDIT | REPLY |   

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