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桃伽奈

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Posted by桃伽奈

『夫婦の日』のお話し 後編

桃伽奈


その場所は、今も昔と変わらない佇まいで二人を迎えてくれた。
夏休みともあってひっそりとしているが、目を閉じればあの頃の楽しかった思い出が瞼に浮かぶ。


思えば、つくしにとって類は初恋の相手。
類にしてみても、恋愛感情というものをはっきり意識したのはつくしが初めてだったかもしれない。
それでも、学生時代はあくまでも仲のいい先輩と後輩。
その関係が壊れるのを恐れるあまり、その想いを告げることなく別々の道へと進んだ。


卒業してからはお互い忙しく、なかなか会えない時間を過ごした。
類は会社の後継として、つくしは一社会人として、それぞれ違う環境の中で様々な経験を積み重ねた。
それこそ、学生時代の淡い思い出など、振り返る暇もないほどに。
けれど、ふとした瞬間に思い出すのはこの場所で過ごした日々。
他愛もない、穏やかな時間。
晴れ渡る空に揺蕩う白雲を眺めたこと。
つくしの作ったお弁当を二人で分け合ったこと。
時には、そよぐ風を感じながら肩を寄せ合って転寝をしたこと。
価値観の違いに、声を荒げ、背を向けたこともあった。
それでも、やっぱりこの場所に戻り、並んで空を見上げた。


そう…ここは二人の『はじまりの場所』。


2年前、想いを確かめ合ったのもここだった。
別に何か約束をしたわけではない。
類は日々の忙しさに荒んだ心を落ち着けるため。
つくしは些細なミスに凹んだ心を慰めるため。
それぞれに別々の傷を抱えて、この階段を昇った。

そして、その姿を見つけた時、何かが弾けた。

過去を懐かしむよりも先に、ずっと胸の奥に眠っていた感情が走り出す。
その瞬間は言葉もなく、ただただ抱き合って、お互いの存在を確認し合った。
まるで失くしたパズルのピースがカチリと填まるように、知らずと空いていた心の隙間が埋まったような感覚だった。

『ずっと、会いたかった。
 もう二度と、離れたくない。』

自然と吐いて出た類の言葉に、つくしは何度も頷いた。


あれから2年。
ゆっくりと、けど確実に俺たちの繋がりは確かなものになったと思う。
総二郎なんかが邪魔できないくらい、強く、深く。
だから、何も不安に思うことはない。
それに、きっとつくしはちゃんと話してくれるはずだから。

何気なくズボンのポケットに手を入れ、そこに忍ばせてきた『モノ』を指先で確かめる。
少しひんやりとした感触に、胸が高鳴らないはずはない。

一生に一度のその言葉を、心の中で何度も唱えながらゆっくりと一段ずつ昇る。

「足元、気を付けて。」
「クスッ…久々だもんね。
 類も気を付けてね?」

年齢を重ねてもなお、変わらないつくしの笑顔に自然と口元が綻ぶ。


大丈夫。今日という日は、俺たちにとって新たな記念日になる。


そして、辿り着いた先は、あの頃と何も変わらない景色が広がっていた。


「うーん、気持ちがいいねー」

手摺に手をかけ、大きく伸びをする。緑に囲まれた学園内は、夏でも風が抜け心地がいい。生徒もいないため、非常階段はつくしが知る以上に静かだ。

暫く二人でその沈黙を楽しんでいると、徐に類の声が響く。

「牧野」
「………えっ…?」

ここ最近、類の口からは聞かなかった呼び名に驚き振り返った途端、その腕の中に閉じ込められた。

さやさや…

爽やかな風。葉擦れの音。類の温もり。
何もかも、2年前のあの日と同じ。
非難の声を上げようとしたつくしは、その代わりに自らの腕を類の背中に回す。つくしのすべてで感じる、“花沢類”という存在。

どのくらいそうしていたのか。
少しだけ身体を離した類が、つくしの眼を真正面から見据えて告げた。

「俺と結婚して」


蝉の鳴き声、風の音、
草木のざわめき……全ての音が類の耳から消え、スロモーションのように時間ときが過ぎる。

今朝感じた絶対の自信が揺らぎそうになって、類はぷるりと首を振り己を鼓舞する。

それに……今日断られた所で22日は毎月やってくる。

ヨシッ
不屈の闘志にメラメラと炎を燃やしたと同時に

「はっ、はっ、はいっ」

つくしの快諾。しかも……飛びっきりの笑顔つき

「えっ?」

あまりにも驚いて類の口から出た言葉に

「えっ? えっ……て?」

つくしの表情かおがみるみる曇る

類は慌てて

「ぃやっ、あまりにも嬉しすぎて、驚いた。ほらっ」

つくしの手を取り自分の胸に置く。

ドクンッ ドクンッ
ドク ドク ドク ドク

早鐘のように鳴る類の鼓動をつくしの掌がキャッチする。

「ねっ ヤバイぐらい速いだろ?」

つくしは、類の空いてる手を取り自分の胸に置く

ドクンッ ドクンッ
ドク ドク ドク ドク

お互いの鼓動を感じあい、お互いの顔に花が咲く。

類はつくしを抱き上げる。宙に浮いたつくしの足が置いてあった鞄を蹴り上げて……

「あっ、いやーーーー」

つくしの雄叫びと共にぶち撒けられたのは、ウェディングドレスのパンフレット

あの日と同じ、二人のタイミングが合っていたことに、類の胸に改めて嬉しさがこみ上がる。


「ごめん……
嬉しすぎ」

髪に、おでこに、頬に キスの嵐が降り注ぐ。


さやさや
さやさや

二人を祝福するように
柔らかな風が吹く。



fin






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Posted by桃伽奈

Comments - 4

There are no comments yet.
スリーシスターズ  

こんばんは。
類くんプロポーズしましたね~(*^。^*)
ロマンチックなシチュエーションでのプロポーズも考えていたのかな?
でもこの非常階段は2人の思い出がたくさん詰まっている場所。
思い出の場所でのプロポーズがもしかしたら一番嬉しいかもしれませんね🎵
結婚しての言葉に素直に返事をしたけど、あまりにも素直に返事がきすぎて逆に類くんの方がびっくりしちゃった!!
つくしちゃん類くんと結婚したかったし、優紀ちゃんの話を聞いた後だし、ウェディングドレスも見に行った後ですからね(^^♪
即答ですよね!
つくしちゃんの鞄の中から出てきたウェディングドレスのパンフレットを見て、類くんすご~く感動しちゃいましたね(*^▽^*)
類くん良かったね~♥

2018/08/22 (Wed) 19:15 | EDIT | REPLY |   
さとぴょん  

聖様
星香様
asuhana様
お話ありがとうございました♡
すごく爽やかで素敵なラストでしたね(*^^*)♡
あえての「牧野」呼びがいいやね♡
「俺と結婚して」
透明で真っ直ぐな
ストレートプロポーズ♡(≧▽≦)♡
凄いよかった~♡
で、つくしの「は、はいっ。」はいいけど
類くんの「え?」にひっくり返りそうになった(笑)
抱き上げた時、散らばったパンフレットが素敵でしたね。
同じ日に同じ気持ちになったことを知り喜ぶ類くん♡( *´艸`)
良かったね♡
おめでとう♡(*^^*)

2018/08/23 (Thu) 01:13 | EDIT | REPLY |   
後編担当一同(代筆:星香)  
スリーシスターズ様

ご訪問&コメント、ありがとうございます♪
再開の第二弾にも暖かいコメント、嬉しいです(^^)
はい、告白しちゃいました。
色気のイもありませんが…リアリスト類くんでしたら、こんな感じもアリかな…と…(いいわけ必死…)
余談ですが、最後の部分を読んだ時の作家一同の反応…
「類くんの胸に手を置きたい…♡」
…ええ、みんなでヨコシマでございます(^^;)
お付き合い、ありがとうございました。<(_ _)>
本日も更新がございます。
こちらも引き続き、お付き合い下さいませ…(^_-)-☆

2018/08/23 (Thu) 08:11 | EDIT | REPLY |   
後編担当一同  
さとぴょん様

コメントありがとうございます
爽やか!
夏は暑いですからねーー
一服の清涼感を感じて頂けたら幸いでございます♡
まぁ この後は、熱帯夜になるんでしょうがねw

2018/08/23 (Thu) 08:36 | EDIT | REPLY |   

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