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桃伽奈

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Posted by桃伽奈

花火 (theme [fireworks]) 前編

桃伽奈


つくしside



子供の頃の夏の楽しみの一つに、花火があった。近所の子供達が派手に火花が飛ぶタイプを選ぶのに対して、私はジッと静かに佇んで行う線香花火が好きだった。


チリチリチリと耳元で囁くような音とか、色味の少ない火花。きちんと持ってないとすぐ落ちてしまう、頼りない火薬。そのどこか儚さが感じられるところに、もしかして惹かれていたのかもしれない。

つくしらしくないとか、地味すぎるとか、色んなことを言われた気がする。
貧乏くさいなんて言われて、ガキ大将と喧嘩した事あったっけ。


だけどいつの頃だろうか。

中学、高校と進むにつれ花火をする機会を失い、大人になる頃にはすっかり忘れ去っていた。




社会人になっても仕事しながら、茶道を続けていて、とうとうお免状を頂けるレベルまでに達した。

道明寺と付き合っていた時は花嫁修業の一環という感覚だったけれど、あの静寂さと緊張感が自分の性に合ってると思い、結構早い段階で西門さんの直弟子として精進することを決意した。

西門さんは私がお茶を続けている事に関して、その理由を尋ねた事は無い。
ただ、一度だけ道明寺と別れて数ヶ月後に「お茶は好きか?」と聞かれた事ぐらいだろうか。


西門さんは相変わらずモテモテで、常にお見合い話が舞い込んでいた。条件の良すぎる良家のお嬢様ばかりなのに、なぜか西門さんは断り続けている。年々お見合い話が増え続けているのは、ここ最近の西門さんのお茶の評価がうなぎ登りだからだろう。


西門さんは学生時代と比べると別人になってしまったというくらい、女遊びをしなくなっていた。
今まで知り合った女性の連絡先を、全て削除したのらしいと言う噂話まであるくらいだ。
どうせまた女遊びが再開するに違いないと思ってなかなか信じられなかった。


だけどいつだったろうか。

西門さんが普段から大事につかっているお道具らを、愛おしそうに手入れしている姿をみかけた瞬間、西門さんは本当に「遊び」をやめたんだと悟った。


真剣に茶道に向き合う者だけが放つ、嫋やかで慈悲深い眼差し。
愛する者への慈しみのような、優雅で大きな手。



今まで堰き止められていた何かが流れ出し、私の中が満たされていく。満たされたと同時に、熱を帯び、激しい火を灯す・・・。


目の前にいる美しい男は何も知らない。
私がこの男に、恋したことを。






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